歴史を受け継ぎ、これからの暮らしにも優しく寄り添う終の棲家
古い家屋を建て替えた、人生をゆっくり過ごすための24坪の平屋建ての住まいです。古い家屋に使われていた建具や欄間などを再利用し、新築ながら風情のある空間をつくりました。
間取りは、LDKと水回り、個室が2つのシンプルなプランです。LDKに入るとまず目を引くのが壁にはめ込まれた古い欄間と床框です。細かい装飾が施された立派な欄間と、経年変化により深みを増した床框からは歴史の重みが感じられます。個々の部屋でも建具枠を造作し、古い建具を内障子として再利用するなど随所に古材を散りばめています。再利用したものが浮かないよう杉の梁や柱を表しにすることで、新旧の共存を図りました。
裏手には山があり日が当たりにくい立地なので、LDKと個室は天井を高く取りハイサイドライトを設けて圧迫感のない開放的な空間を目指しました。一方で、キッチンや水回りの天井は平均的な高さに抑え、空間が間延びしないようメリハリをつけています。
将来的にスロープを設置することができるよう玄関土間は広めにとり、各部屋は段差をなくしフラットにつなげました。また、部屋間の建具を引き込み戸にすることで開口を広くとれるようにし、電動ベッドなどもスムーズに運び込めるよう工夫しています。
新旧が調和し、趣のある落ち着いた雰囲気の住まいに仕上がりました。
時を刻む家
2021 新築